五母音仮説 その4

今回は第5章を紹介します。Internet Explorer ではなく Google Chrome からインターネットに入ると、文字化けやそのほかの不自然な状況は解消します。このブログを読んでいただいている皆様には、是非、Google Chromeをお勧めします。

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5. 五母音辞と五母音縁および五母音場

これまで、五母音語、五母音句や五母音文、つまり、それ自体で完結する五母音表現を論じてきたが、この章では別の視点から五母音を論じることにする。ここでは新たな3つの視点「五母音辞」、「五母音縁」そして「五母音場」という概念を扱う。

 

5.1. 五母音辞

日本の十二支に目を向けると、最初の「子丑寅」(ねうしとら)で、完全五母音を達成している(EUIOA)。

また、平安時代初期に作られたとされる仮名48字からなる「あめつちの詞(ことば)」の最初、即ち「雨土星…」(あめつちほし)も、五母音が並ぶ(AEUIOI…)。

「子丑寅」や「雨土星…」は、全体の一部、しかも、最初の部分なので(=単語や熟語ではないので)、接頭辞の「辞」を取って「五母音辞」と呼ぶ。

 

5.2. 五母音縁

意味的に関連している単語が、音声的な関連を同時に持つことは、ほとんどないとされるが、音声・音韻が全く意味と関係がないというわけではないことは、日本語の「ころころ」と「ごろごろ」、「きらきら」と「ぎらぎら」、「たらたら」と「だらだら」のニュアンスが異なることからも理解できる。注3

ここでは、意味的に関連する語群が五母音とも関連するような語群を取り上げて、考察を施すことにする。

(17) a. 月・火・水・木・金

  1. 鼻・耳・口・目・頬
  2. 手・足・胴
  3. 大黒天・毘沙門天・寿老人・恵比寿・布袋
  4. 観音・地蔵・普賢・勢至・文殊

f. 町・市・県・国・世

1週間の平日である(17a)の文字の1つ目の母音を並べた五母音列は「EAUOI」となり、完全五母音を形成している。この5つの曜日は、全体で語になっているわけではないので、(17a)は五母音語とはならない。しかし、それぞれが何らかの関係で結びついているという点で「良縁」「悪縁」などに使われる「縁」を用い、「五母音縁」とする。

(17b)は顔に存在する五感を感じる器官・組織としての代表格であるが、それぞれ最初に表れる母音が異なり、全体で完全五母音を形成している。顔に関する五母音縁ができるということである。(17b)で挙げられている順に、嗅覚・聴覚・味覚・視覚・触覚が対応する。

(17c)は、顔を除く体全体を構成するものとして、手(E)・足(A I)・胴(OU)を示したが、これらに現れる母音を合わせると、五母音縁(この場合「完全五母音縁」)を形成する。

(17d)は、七福神の6柱まで、最初に現れる母音を合わせると完全五母音縁を成す。(17e)は、有名な菩薩を5つ挙げているが、それぞれの菩薩は、脇侍が決まっている。ただし、地蔵菩薩は、町や村や山のあちこちにあり、脇侍は存在しない。

(18) a. 阿弥陀仏の脇侍: 向かって右⇒観音菩薩 / 向かって左⇒勢至菩薩

b. 釈迦如来の脇侍: 向かって右⇒普賢菩薩  / 向かって左⇒文殊菩薩

(17e)も、最初に現れる母音をつなげると完全五母音縁を構成している。菩薩の有名どころが5母音縁となるのも、仏教の縁であろうか?

(17f)は、行政区画を小さいものから大きいものへと並べると、その最初の母音が完全五母音(AIEUO)を形成することを示したものである。「世」は最大の単位で、もちろん「よ」と読む。

 ところで、(9a-c)は、日本語では3Kということになるが、この3Kのローマ字は、五母音縁を形成する。

(19) 経済(EIAI)+環境(AO)+教育(OIU)

注:拗音は通常二重母音にしない。例えば、「きょう」はKYOUでなくKYO。

経済は「金」[=かね](AE)、環境は「地球」(IU)、教育は「人」(IO)がキーワードであるが、これも五母音縁を形作っている。

 

5.3. 五母音場

最後に、日本人は、何かのスローガンや発想や覚え方などで、五母音を利用することがある。注4

(20) a. 主婦の「さしすせそ」

さ⇒裁縫 / し⇒躾 / す⇒炊事 / せ⇒洗濯 / そ⇒掃除

b. 調味料の「さしすせそ」

さ⇒砂糖 / し⇒塩 / す⇒酢 / せ⇒醤油 / そ⇒味噌注5

c. 現代女性の「かきくけこ」

か⇒考え / き⇒企画し / く⇒工夫し / け⇒検討し / こ⇒行動する

d. 人生の指針の「かきくけこ」注6

か⇒感謝・感動 / き⇒緊張 / く⇒くつろぐ / け⇒決断 / こ⇒好奇心

(20a-d)は、(17a-f)と異なり、元来、グルーピングができないもので、主張する人の主観による産物である。(20a-d)のような形式で五母音を利用したものは「五母音場」を形成すると考える。

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注3.「かわいい子犬がコロコロしている」という表現に対し、「日曜日お父さんが家でごろごろしている」、また、「王子様の目はキラキラと輝いていた」に対し、「その男の眼はその女性にぎらぎらした視線を投げた」の例で分かるように、濁音の擬態語はマイナスイメージである。また、汗が粒となって流れる状態は「たらたら」であるが、汗の粒が全てつながって流れると「だらだら」という表現が使われる。「たらたら」の「タ」の言霊については、6.4.を参照。

注4. 五母音を利用するのは日本文化特有であるが、一般的に、次のような4つの形式がありうる。例を挙げて示す。(i)以外は、筆者のオリジナル。

(i)    数詞同頭型:3R’s⇒読み書きそろばん(Reading / wRiting / aRithmetic)

(ii)     頭文字語型:日本人英語教師に必要な素質TEACHER

⇒T:translator(訳者)→英語と日本語の橋渡しができること

E:enthusiast(猛者)→熱心に指導できること

A:astrologist(易者)→生徒の将来が見えアドバイスができること

C:caretaker(侍者)→いろいろと細かな世話ができること

H:hallow(聖者)→他者の模範となる宗教的にもレベルが高いこと

E:entertainer(役者)→楽しく勉強を教えることができること

R:researcher(学者)→学問を追求し知識があり研究熱心であること

※これは「教師の7者」とも言える。

(iii)    アルファベット文字型:「非難」のABCDEF

⇒A:accuse 人 of 事

B:blame 人 for 事

C:charge 人 with 事

D:denounce

E:excoriate

F:fulminate

(iv)      対比文字型:英語学習のLとR

L:logic

R:rhythm

※(i)の変形に「同頭新語型」(「アルファベットの文字+単語」で新表現を作るパターン)がある。具体例としてr-months(Rのつく月=牡蠣がおいしい月:September, October, November, December, January, February, March, April)がある。

注5. 「そ」は「ソース」や「(グルタミン酸)ソーダ(=味の素)」という説もある。

注6.これは華道家の假屋崎省吾氏の考え。

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