前置詞に共通する意味の強弱を考える

今日はatに注目したい。

atは、I am a professor at Kinki University. に見られるように、「所属」の意味があります。通常では、学長でない限り、ofの使用は許されません。

(1) ○ He is President of Kinki University. [× He is President at Kinki University.]

学長は大学の完全な1部としての役割、つまり、大学と不可分なのでofを用いるのです。同様の用例は、President of the United Statesなどに見られます。

ofの所属性の強さは、(2)を見ればわかりますね。

(2) the bottom of the bottle (ボトルの底)
(3) the label on the bottle (ボトルのラベル)
(4) the water in the bottle (ボトルの水)

(2-4)から、日本語では全て「の」で表記できるのに、英語では前置詞が異なるのは、その所属性のあるなしに関係しています。所属性が最も大きいと思われるのは、ボトルと底の関係です。というのは、底はボトルの一部だからです。(3)は元来所属性がありません。たまたま貼ったということを表すのにonが用いられているだけです。また、ボトルの水も取り出せますから、所属性はないと言えます。つまり、所属性はofで表しているのです。

一方、次の表現を考察します。
 
(5) the cap to the bottle
(6) the key to the room
(7) the secretary to the president

(5-7)については、A to B において A と B は所属度は最高ではないにしても、意味的に所属していると考えてよいでしょう。たまたま、所属しているというニュアンスがある a professor at the university の表現におけるatよりも、to のほうが所属性が高いと思われます。従って、所属性は、次のように高くなると考えてよいでしょう。
 
(8) at < to < of

さて、at には「狙い」を表す表現があります。次の違いに着目しましょう。
 
(9) He threw the ball at me.(彼は私を狙ってボールを投げた)
(10) He threw the ball to me.(彼は私に渡すためにボールを投げた)

(9)(10)から、atの方が、標的性(悪意を持った狙いのレベル)が高いと思われます。ここで、次の文の違いにも着目します。

(11) She did something to me.(彼女は私に何か[いやなこと]をした)
(12) She did something for me.(彼女は私に何か[いいことを]をしてくれた)

(11)(12)から、toの方が標的性が高いということがわかります。だから、「標的性」の強さは、次のように大きくなると考えてよいでしょう。

(13) for < to < at

複数の前置詞に渡る同じ意味について、その強弱を考えることは、前置詞の本質の解明につながると思います。

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