前置詞の不思議 その1

さて、今回は私の大好きな品詞である「前置詞」の話をしましょう。

前置詞は、according to や in spite of のような群前置詞(この前置詞は108個あります!)をのぞけば、それほど多くなく、基本前置詞は36個存在するぐらいです。私の好きな数(=36)だけ、前置詞が存在するわけです。

ところが不思議なことに、36個のうち、なんとそのちょうど4分の1が a から始まり、また、ちょうど4分の1が b から始まります。 つまり、a から始まる前置詞が9個、b から始まる前置詞も9個存在するのです。それだけではなく、これらの前置詞は、対になるのですよ。

以下に表で示してみましょう。

 

2字 時間 空間 超える 沿う 反発 位置
A群

B群

at

by

among

between

after

before

above

below

across

beyond

along

beside

against

besides

「周り」

「後と下」

 

2字で出来ている前置詞 at と by は、時間的には「~に」と「~までに」で意味的に対比されるし、空間的にも「~で」と「~の近くで」で、中心部とそれに近い場所で、対比的と言えなくもないです。

3人以上の間を意味するamongに対して、2人間のbetween、時間的な後を意味するafterに対して、前を意味するbefore、空間的な上を意味するaboveに対して、下を意味するbelowは、完全な対比関係が見られる前置詞群ですね。

同じ「超える」意味を持つacrossとbeyondですが、acrossは近くの線的な空間を横切るので、近いイメージを持つのに対し、beyondは平面的、あるいは、立体的に、遠くへ超えてしまうイメージを持つという意味で、対比的です。

同じ「沿う」ニュアンスのalongとbesideは、線的に沿っているのがalongであるのに対し、点的に沿っているのがbesideという点で、対比的です。

「反発」を意味するagainstに対し、besidesを対にしたのは、besidesには「~を除いて」という意味があるからです。排除の意味が反発に近いので、同じジャンルに分類しているのです。人間社会で譬えると、againstは「対抗する」のに対し、besidesは「無視する」イメージがあり、対比的と言えなくもないでしょう。

最後に「位置」とありますが、中心的な存在に対して、周辺のあり方に関する前置詞も対比できます。例えば、X(=中心的存在)の周りに集まるイメージは、aboutやaroundが持っています。それに対し、Xの背後や下に現れるイメージは、behindとbeneathがそれぞれ有しています。中心物に対するあり方も対比的なのです。

基本前置詞36個のうち、半数の18個が a と b に、非常に<知的に>集まっているということです。どうでしょうか。前置詞は不思議な品詞ですね。

俗に、「桃栗3年、柿8年」という言い回しに似せて、「前置詞3年、冠詞8年」と言われますが、前置詞は3年でマスターできる代物ではありません。しかし3年で概要が分かってくると言えるでしょう。

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