前置詞周期表

英語前置詞普及会(会長石井隆之)は、前置詞の教育・研究を推進しつつ、前置詞の面白さや奥深さを発信するNPOです。この英語前置詞普及会(前置詞哲学&グッズ開発委員会)が編み出した発想のうちの1つに「前置詞周期表」というのがあります。他にも、具体的なものとして、前置詞トランプ・前置詞将棋・前置詞かるた・前置詞川柳・百前一首(百の前置詞句を歌に詠んだもの)・前置詞手帳・前置詞ノート・前置詞4コマ漫画(前置詞を教えるための4コマ漫画)、哲学的な発想として、前置詞道・前置詞五行説などを構築中です。それはともかく、今回は、前置詞周期表(英語名はThe Periodic Table of the Prepositions)を紹介します。

 

「元素に周期表があるように、前置詞にもこの発想が適用できないか?」と考えたのがきっかけで、前置詞周期表ができました。というのは、前置詞は英語(だけでなく全言語)の元素ならぬ言素だからです。なぜ、前置詞が全言語にとっても重要であるのかは、別の機会に書きます。

 

前置詞周期表(The Periodic Table of the Prepositions)

I族 II族 III族 IV族 V族 VI族 VII族 VIII族 IX族
of off
at on in by with from for to into
before onto within until through since during toward after
about around across along near beside beneath behind beyond
under below without between among besides against above over
原始 接触 内外 時点 共有 起点 賛否 接近 分離

 

 

  1. 前置詞番号(prepositional number)1番がofで、38番がover。ofは前置詞の王様(全前置詞の代表格で使用頻度も最も高い)なので、前置詞番号1番であるのは納得できる。overが最後なのは、overは「終わり」を意味する副詞があるから。→The storm will soon be over.(嵐はすぐにやむだろう)
  2. 縦に9つの「族」(family)があり、同じ族に属する4つ、または、5つ(I族およびIX族の場合)には、共通のコンセプトがある。I族は始め、IX族は終わりを暗示する。以下、やや詳し目に解説する。[以下の(  )内は族の番号、番号の直後は共通コンセプト]

(I)原始⇒はじめを暗示する前置詞:ofは前置詞番号1番で「原始」atは0次元(=点)を表し、beforeは「…の前」を表し、ともに「始め」の概念と関わっている。宇宙の原初は混沌としたaboutな状態である。最後に、物事は下位から上位へ発展するので、underは始めの状態を暗示する。

(II)接触⇒onとontoは、それぞれ接触の状態と接触の動作を表す。

aroundには、a story built around a new plot(新しい筋を元にし

て作られた話)のようにbased onの意味を持つ。below(下に)はon

(上に)に意味的に対応するのでonの仲間。

(III)内外⇒inとwithinは「内」を表す代表格で、across(超えて)は外へ出るイメージ、withoutは既に外に出ているイメージがある。

(IV)時点⇒byとuntilは、それぞれ時点を表す表現を伴う。alongには米口語で「時間的に近づいて」の意味があり、along about midnightやalong toward midnightと言えば「真夜中頃」の意味となる。between A and BのAとBに時点を入れれば、「A時からB時まで」という時間を表す。例えば、I will be here between 10 and 12.で「10時から12時までここにいます」の意味となる。

(V)共有⇒withがまさに共有を意味する中心的前置詞で、throughは共有のための手段、nearはもう少しで共有すること、amongは既に共有した結果を暗示する。「もう少し」を意味するnearの用法は、She is near tears.(彼女は今にも泣きそうだった)やThe house is near completion.(家はほとんど完成だ)に見られる。

(VI)起点⇒fromが起点を表す代表的前置詞で、sinceは完了形とともに用いる起点の前置詞。besideはby side(脇にいる)から発展した前置詞で、これから何かが始まるという暗示があり、besidesは、この前置詞から発達した前置詞。

(VII)賛否⇒forは「賛成」を表すのに対し、againstは「反対」を表す。例えば、I am all for her proposal.は「私は全く彼女の提案に賛成だ」を意味する。duringはdure(続く)の現在分詞が前置詞化したもので、「続けること」は賛同を暗示する。beneathには「人にふさわしくない、品位に関わる」の意味があり、賛同しないことを暗示する。例えば、Such conduct is beneath you.は「そのような行為はあなたの恥だ」を意味する。

(VIII)接近⇒toとtowardは接近を表す代表格で、toは到達も暗示する。behindは「背後に」という意味があり、何かが迫っているニュアンスも持つ。aboveは何かに接近して、それを通り超えたイメージを持つ。例えばHis behavior is above praise.で「彼の振る舞いは褒めきれないほど立派だ」の意味になる。

(IX)分離⇒offは当然ながら分離を表す代表的前置詞。intoは結果を表し、これまでプロセスとの分離を暗示し、afterは始めのころの状態との分離を暗示し、beyondは時間・空間・限界からの分離を暗示する。overは分離させたものに覆いかぶさる(そしてすべてを終わらせる)イメージを持つ。

  1. 横に5つの「周期」(period)があり、それぞれの周期に特徴があり、しかも、意味が左から右へ展開・発展している。第1周期では、実際に歴史的にofからoffが分化した。第2周期は基本10前置詞のうちofを除いたものが集合している。at(O次元)→on(1次元・2次元)→in(2次元・3次元)と次元的発展があり、from(起点)→for(目標)→to(接近)→into(結果)と、物体の移動や物事の論理的展開の順序になっている。第3周期は主に時間的展開を示す前置詞群であるのに対し、第5周期は主に空間的展開を示す前置詞群である。第4周期は、最初の4前置詞がaで始まり、後の4前置詞がbで始まる。そして真中はほぼアルファベットの真ん中のnで始まる前置詞である。
  2. ofとoffについて:対照的な意味関係があるので、I族とIX族にそれぞれ配置される。下記8の(a)参照。
  3. 第2周期と第3周期の前置詞の組み合わせに関係性がある。用法の違いに注意すべき前置詞群である。特に、inとwithin、byとuntil、fromとsince、forとduring、toとtowardの違いに注意すべきである。
  4. I族とIX族の間、II族とVIII族の間、III族とVII族の間、IV族とVI族の間に関連性がある。I族のbeforeとunderに対し、IX族のafterとoverがそれぞれ対応する。II族のコンセプト「接触」とVIII族のコンセプト「接近」は「接」という共通項がある。III族のコンセプトとVII族のコンセプトは、それぞれ「内外」と「賛否」で、対照的な漢字を組み合わせている点で共通している。IV族とVI族のコンセプトは「点」が共通項である。
  5. 同じ周期で隣同士に関連性があるものが存在する点にも注意。第1周期のofとoff、第2周期のat, on, in、第4周期のaboutとaround、第5周期のunderとbelow、betweenとamong、aboveとoverなど。
  6. 前置詞は36個が重要であるが、この周期表では、offとontoが加わって38個となっている。offとontoの存在意義を示しておく。

(a)    offは14-5世紀にofから分化し、17世紀以降現在の形になった。現在ではofが「離れていないこと」(=所属・部分)を主に担当するのに対し、offは「離れていること」(=分離・離脱)を表す。

(b)    ontoはonで曖昧になる状況を解決する。例えば、He jumped on the stage.は「ステージに跳び上がった」と「ステージでジャンプした」の2つに曖昧であるが、He jumped onto the stage.は前者の意味だけを表し、曖昧性が消える。

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