日本社会では人間関係を重視するのに、日本語は単語関係を重視しない!?

日本社会では、人と人との和を大切にするので、日本人は人との対立を避け、できる限り、自己主張をしないで、本音と建前を使い分け、当たり障りなく生きていくことが望まれます。つまり、人間の個性よりも人間関係を重視すると言えるでしょう。

ところが、日本社会を成立させている基盤となっている言語、日本語の世界を覗いてみると、単語と単語(またはその集まり)の関係を重視しているとは思われないような言語現象が見受けられるのが、興味深いと思います。

例えば、次の文を考察しましょう。
(1) 昨日私が買った本
(2) 昨日本を買った人
(3) 昨日私が本を買った店
(4) 私が本を買った夜
(5) 昨日私が本を買ったお金
(6) 昨日私が本を買った方法
(7) 昨日私が本を買った理由
(8) 昨日私が本を買った事実
(9) 昨日私が買ったと彼が思う本
(10) 昨日私が買った本のうちで、あなたが興味を持っている本

日本語は、英語と異なり、被修飾語(名詞など)は、名詞句・節の一番最後に来ます。上記では、前に来る「文」(=修飾表現)と「語」(=被修飾語)の間に、その文と語の関係を明確に示す関係詞などは存在しません。

英語では、word → sentence という順番になります。そのまま並べたのでは大半が非文法的です。つまり、英語では、表現を成立させている要素間の関係が、関係詞などにより、明確にされるのです。このことは、日本語と同様の発想で英語に置き換えた表現(以下では先に挙げています)と正しい英語表現を比べてみると明らかです。

(1) the book I bought yesterday → the book that I bought yesterday (最初の文も、関係代名詞が目的格だから、OK)
(2) the person bought the book yesterday → the person who bought the book yesterday
(3) the store I bought the book yesterday → the store where I bought the book yesterday
(4) the night I bought the book → the night when I bought the book
(5) the money I bought the book yesterday → the money with which I bought the book yesterday
(6) the way I bought the book yesterday → the way how I bought the book yesterday (最初が正しく、あとが間違い)
(7) the reason I bought the book yesterday → the reason why I bought the book yesterday (最初も正しい)
(8) the fact I bought the book yesterday → the fact that I bought the book yesterday
(9) the book he thinks that I bought → the book that he thinks I bought
(10) the book you have an interest of the books I bought yesterday
→ the books that I bought yesterday which you have an interest in

日本語は単純で、文と語の間に、その関係性を表す関係詞や接続詞などは一切不要なのに対し、英語は基本的には関係詞や接続詞などが、関係を明示するために必要です。省略される場合が少しある(上記の(1)(6)(7)など)ものの、基本は関係を重視しています。

特に(10)は二重限定を使ったほうがすっきりします。日本語の直訳ではinterestのあとのinも省略されますが、英語は構造を明確にするため、inは省くことはできません。

社会で個性を重んじて、1人1人が独立することを勧める英語世界が、逆に、単語が独立するよりも、関係性を重視している点、これに対し、日本社会では、個よりも集団を重視し、人は持ちつ持たれつであることを強調するのですが、日本語では、単語と文はそれぞれに個性を発揮し、独立している点が面白いと思いませんか?

コメントを残す