五母音仮説 その2

今回は、五母音仮説エッセイの第3章をご紹介します。

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3.五母音の不思議

英語と日本語の両方で、五母音にまつわる不思議な現象を挙げておきたい。これは、五母音が母音の基本であることの証拠にもなるからである。

 

3.1. アルファベット表

まず、英語のアルファベットの文字を順に、母音が左端に来るように並べてみる(これを「アルファベット表」と名付けることにする)。すると、きれいな形ができあがり、しかも、縦列と横列のアルファベットの文字に特徴が浮かび上がる。

(4)  アルファベット表注1

1 2 3 4 5 6
i A B C D
ii E F G H
iii I J K L M N
iv O P Q R S T
v U V W X Y Z

(4)において、偶然に並んだ1列~6列におけるアルファベットの文字と、i行~v行におけるアルファベットの文字の特徴を挙げる。

(5) a. 縦に並んだ文字の特徴

1列:母音

2列:Jを除き全て両唇音

3列:Wを除き全て軟口蓋音

4列:Dを除き全て母音から始まる文字

5列:Yを除き全て[e]から始まる文字

6列:Nを除き全て[i:]で終わる文字

b. 横に並んだ文字の特徴

i行:Aを除き全て上下対称

ii行:Eを除き全て3画で書ける

iii行:Jを除き全て直線で書ける

iv行:Tを除き全て曲線が入っている

v行:Zを除き全て左右対称

つまり、大雑把ではあるが、縦は音、横は形の視点から分類できるということが分かる。

 

3.2. 五母音字のパターン

英語の五母音字に着目すると、その特徴がまったく一致するものが存在しない、つまり、全てが全体的にはそれぞれに異なるユニークなものとなっている点が挙げられる。

(6) 五母音字パターン表

A E I O U
対称 上下対称 × ×
左右対称 ×

直線使用 ×
曲線使用 × × ×

注:○⇒該当する / ×⇒該当しない

 

3.3. 日本語の五母音と五行説

日本語の五母音に目を向ける。一説に、「あいうえお」は「木火土金水」に相当するとされる。

(7) 日本語の五母音と五行の対応

a. 木 = あ

b. 火 = い

c. 土 = う

d. 金  =  え

  1. 水 = お

生じる関係と剋する関係の母音を並べてみると、生じる関係では、平和でプラスイメージの大和言葉、剋する関係では、戦いにおける感情の高まりのイメージを持つ掛け声や呼びかけ表現が現れる。(  )内は単語例である。

(8) a. 生じる関係

・木生火⇒ あい(愛・相・会い・合い)

・火生土⇒ いう(友・有・優・言う・結う)

・土生金⇒ うえ(上・植え)

・金生水⇒ えお(世・代・与・誉)[えお→よ]

・水生木⇒ おあ(和・輪・話)[おあ→わ]

b. 剋する関係

・木剋土⇒ あう(戦いで攻められるときの擬音)

うあ(驚きとショックの声)

・土剋水⇒ うお(雄叫び)/ おう(力を入れて相手に答える声)

・水剋火⇒ おい(力を入れて相手に呼びかける声)

・火剋金⇒ いえ(相手に反発する声)

えい(相手に力を入れて攻撃する声)

・金剋木⇒ えあ(相手に対する攻撃を開始する声、「や~」)

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注1.
私は、(4)表を「元素の周期表」にちなみ、「言素の周期表」と命名している。

五母音仮説 その1

私が書いたエッセイを、少しずつ紹介してゆくことにします。1つのエッセイも4から6部ぐらいに分けて紹介します。途中で、全く別の情報を挟むかもしれませんが、その時はきちんと、エッセイの続きではないことを申し上げますね。

さて、エッセイ第1弾は、私が10年前から提唱している「五母音仮説」です。今回は、0章から2章までをご紹介します。

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  1. はじめに

音と意味の間に恣意的な関係しかなく、音自体に直接意味は付加されていないという考え方が言語学の根底にある。しかし、意味と音は関連が全くないとは言えない現象もある。

(1)   a. patter(パタパタと音を立てる)、pop(パチッとはじける)など。

  1. spout(吹き出る)、spread(広げる、散布する)、sprinkle(散水する)など。
  2. stop(止める)、drop(落ちる)、drip(滴る)、flap(はためく)、flip(弾く)、flop(ドスンと落ちる)など。
  3. apple,
    pineapple, pear, peach, plum, papaya, persimmon, pomegranate, grape,
    grapefruit, banana, fig, mango, melon, lemonなど。

(1a)は擬声語で、ある音に最も近い単語を用いてその音を表す形式、(2a)はspの音の連鎖が、「活力が何かを突き破って『ほとばしりでる』という感じを与え」(『音声学』安井泉著、開拓社p.387)、(1c)は「短母音+p」の連鎖が、「何かの力が加わって、急激に動き、即止まる」というイメージがある。

(1d)により、(1c)のイメージからさわやかなイメージが派生し、その結果フルーツ全般にpまたはp系列の音(bやf)、更にはpのごとく口を閉じるm音が入っている場合が多いのではないかという類推ができる。

英語語源のフルーツ名にこの傾向が見られる。ちなみに、果物の代表格であるorangeにp系列がないのは、元来、「香り高い」を意味するインド南部のドラヴィダ語naruに由来し、サンスクリット語に入ってnarangahとなり、アラビア語を経て、スペイン語でnaranjaとなり、naranjaがフランスのプロヴァンス語に入り、その果実の色から「黄金」を意味するauが付加されauranjaとなり、フランス語で金を意味するouに置き換えられorengeに変化し、最後にorangeの綴りになったということ(ネット上の『語源由来辞典』による)で、そもそも英語語源ではないからであろう。

(1b-d)のデータより、子音p自体、あるいは、他の子音や母音と組み合わされば、何らかの意味を持つ可能性があると考えることができる。

子音と意味の関係は、100%恣意的なものであるとは言い切れない可能性があるわけである。これが母音と意味の関係にも言えることであるかどうかを論考するのが、本稿の目的である。

特に、5つの母音[日本語におけるアイウエオ](英語では5つの母音字)に焦点を当て、日本文化との関わりも視野に入れ、論考を進める。

尚、学問研究に必要な論理性と柔軟性を見失うことなく、やや大胆な論を展開したいと考えている。ただし、本論考は、あくまでも一論文のレベルであるとは判断できず、信頼性や妥当性においては研究ノートの域を出ず、創造性や発想力の視点からは、エッセイのジャンルに位置するものであると付記しておきたい。

 

  1. 三母音仮説

基本母音はいくつに絞れるかという問題に対し、「三母音仮説」が存在する。

(2)  三母音仮説

基本の母音が三母音であるという説では、「あ」と「い」の中間に「え」、「あ」と「う」の中間に「お」が存在する。確かに、「え」や「お」は、その口の形が、それぞれの中間点に存在する感じは否めない。

また、「い⇒あ」の流れは「や」で、「い⇒う」の流れは「ゆ」、「う⇒あ」の流れは「わ」、そして「う⇒い」の流れは「ゐ」となる。

 

  1. 五母音仮説

三母音仮説については、「え」と「お」の成立が、「や」「ゆ」「わ」「ゐ」の成立とは、質的に異なっている点、即ち、「あ⇒い」の流れで「え」ができない、「あ⇒う」の流れで「お」が生じない。また、三母音仮説では「を」の存在を説明できない。

更に、日本語に「あいうえお」の五母音、英語にA,E,I,O,Uの五母音字があり、中国史層に「五行」、仏教的発想に「五大」などがあり、「5」は極めて重要な数であることが分かる。すなわち、母音は5つが基本であるということを反証しにくいと思われる。

私が提案する「五母音仮説」が主張する点は、次の2点である。

(3)  a. 基本母音は、あ(A)・い(I)・う(U)・え(E)・お(O)の5つである。

  1. 基本母音を5つ含む1つの概念やグループは価値や重要度において高い。

(3b)が意図することは、平たく言えば5つの母音が入った表現には重要な言葉が多いということであるが、現実には、五母音をすべて含む表現は非常に少ない。

記念すべきこと

私は、1993年10月1日に「言語文化学会」という学会を立ち上げましたが、来年創立20周年となります。また、1982年7月22日に「通訳ガイド研究会」という英語と日本文化の勉強会を立ち上げましたが、本年創立30周年です。

立ち上げるのは簡単ですが、続けるのはなかなか難しい中、会員の皆さん、役員の皆さんのおかげで続いています。

この2つの会に共通した記念すべきことは、周年行事以外に、1つありました。それは、ローマ字書きするとどちらも5つの母音を含んでいることです。

言語文化学会 ⇒ GENGOBUNKA GAKKAI  (EOUAAAI)

通訳ガイド研究会 ⇒ TSUYAKUGAIDO KENKYUKAI (UAUAIOEUAI)

今回のブログの内容は、私自身のことを書きましたが、これからも興味深い言語と文化の話を発信する予定です。

「なるほど」の3レベル

「そうか!」「そうだったのか!」という気持ちになることに3つのレベルがあるのではないかと私は考えています。

まず、じっくりと分析した結果、その気持ちに至るレベル、これは「分かる」というレベルです。「分かる」は物事をしっかりと「分ける」ことにより、つまり分析することにより「なるほど」という気持ちに至る方法です。

英語ではunderstandが「分かる」に相当します。understandはunder(下に)とstand(立つ)から成っています。understandとは、何かの下に立ってじっくりと観察・分析することによって、物事を理解することです。だから、日本語の「分かる」に相当するのです。

一方、この分析的理解に対し、真っ向から反発するレベルがあります。これは日本語では「つかむ」です。分析関係なしに全体像を捉える方法です。英語では、文字通りgraspです。面白いもので、日本語も英語も、物理的に物を捉える意味の単語です。この意味が抽象的な事象にも適用されているわけです。

更に、<分析して分かる>、<総合的につかむ>の2レベルをアウフヘーベンするレベルがあります。それが「悟る」ということになります。英語ではrealizeで、real(本物に)とize(~にする)に分解できるので、知ろうとするものについて、自分の心(mind)で実体化するというイメージがあり、まさに、「悟る」という意味にふさわしいのが分かります。

もう1つ、「悟る」に相当する英単語で、私が着目している単語があります。それはenlightenです。少し、この単語を分析してみます。

light:(物理的に)[何かに]火をつける

lighten:(物理的に)[何かを]明るくする、軽くする

enlighten:(精神的に)[誰かを]明るくする、軽くする

light、lighten、enlightenの順に、意味がだんだん抽象化しているのが見て取れるのですが、「精神的に明るくする」のみならず「精神的に軽くする」(=心の負担を軽減する)の意味も同時に存在し、仏教でいう「悟る」(俗にいう「悟る」よりも境地が高い)に合致する単語であるのがわかります(いや、そんな単語であると悟りますね!)。

enlightenmentという単語は、enlightenの名詞形ですが、実は、この単語、私が最も好きな単語です。「悟り」と訳してよいでしょう(勿論、仏教における悟りは、スピリチュアルなイメージを明確にして、spiritual enlightenmentと訳されることも多いですが、これは、enlightenmentでは宗教的なニュアンスが出ないからです)。

私が如何にこの単語が好きなのかは、メールアドレスを見ればわかるでしょう。私の個人のメールアドレスは、englight36@yahoo.co.jpで、勤務する大学のアドレスも、englight36@socio.kindai.ac.jpで、englightが入っています(「36」も入っていますが、この数字は、私が一番好きな数字です)。

さて、このenglightは、実は、English Enlightenment(英語の悟り)の短縮形です。日本語訳も造語で「英悟」(Eigo)です。このenglightの日本語読みは「エングライト」ですが、これは、enguraitoとローマ字書きすると5母音が1つずつ入っています。

公式ブログ(2011.8.18)の「五母音言語論」を参考にご覧ください。私は五母音単語研究家であると同時に五母音単語愛好家と言えるかもしれません。造語ではありますが、日本語読みに5母音が入るのでenglight(エングライト[enguraito])という単語も大好きです。

まとめると、「なるほど」と理解する仕方に3レベル、「分かる」(understand)、「つかむ」(grasp)、そして「悟る」(realize)があり、更に、数段高い別格の仏教的な「悟る」(enlighten)があるのではないかということです。

英語と日本語の発想の違いその1 sit behind a desk の話

英語の勉強をしていると、日本語と英語の発想が異なることが分かることがあります。

 

(1)   a. 私はその机の前に座りました。

  1. I sat behind the desk.

(2) a. 彼女は思いっきり想像力を働かした。

  1. She gave full play to her imagination.

(3) a. 彼はその悪い習慣から足を洗った。

b. He washed his hands of the evil habit.

(4) a. その件については、全てが丸く収まった。

  1. Everything was squared away about the matter.

 

(1)から(4)から分かるように、「前に」がbehind(後ろに)、「働く」がplay(遊び)、「足を洗う」がwash one’s hands(手を洗う)、そして「丸く」がsquare(四角)になるわけです。

 

今日は、「机の前に座る」がsit behind a desk(机の後ろに座る)になる理由について、考えてみたいと思います。これは、人が使うものについて、日本人と欧米人の認識が異なることからくると、私は考えています。

 

例えば、前後がはっきりしないものについては、日本人にとっては、自分の手前にくる箇所が「前」なのです。確かに「手前」という表現を用いることから、そのことは如実に理解できますね。

 

一方、欧米人は、自分の前に箇所(またはスペース)は、そのものの後ろに当たると考えるのでしょう。ハンドルすら、それを握る状態は、「ハンドルの後ろにいる」(get behind the wheel)と英語では発想します。

 

日本語で言う机の前(のスペース)の反対側は、机の後ろではないかもしれませんが、前というよりも「奥の方」という感じでしょうか。これが英語の世界では、「前」に相当するわけです。

 

つまり、机を車の操縦席のようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。欧米人は、机と自分を同じ方向をむいて移動するイメージを持っているのではないかと思います。日本人は、机は、あくまでも自分に向き合っているというイメージがありますね。

 

欧米人は、同じ方向をむいて移動することを重視し、日本人は、移動をあまりせず、定住することに価値を置きます。その発想の違いが、このような表現の差に表れるのではないかと推察できます。

 

ある空間が与えられると、日本人は角のほうに集まる傾向がありますが、欧米人は堂々と真ん中を陣取ります。私は日本人学生を教えていますが、授業中、彼らは、教室の端っこや後ろの方に遠慮して座ってしまう傾向があります。

 

これは、遠慮がちであるかどうかという性格の要因以外に、「端」という空間の言語的な認識と関係があるのかもしれません。日本語の「始め」という言葉は「端占め」から来ているようです。端が「始め」ということなのですね。

 

欧米人の発想は、自らが中心にいて、どんどん端の方に移動して、開拓していく(特にアメリカ人はこの発想をもっていると思います)迫力があります。だからend(端)という言葉は、時間的なend(終わり)[←日本語と逆ですね!]、と同時に、end(目標)でもあるわけです。

 

日本人は、端からじわじわ動く、できればあまり動きたくない、という感じですが、アメリカ人は、真ん中から端に向かって、自分たちの陣地を広げていくということに喜びを感じるのではないでしょうか。

 

ヨーロッパでも、一部の国が、特にそのような発想を持っていたという歴史的事実があると思われるので、世界のどの地域よりも早く植民地政策が進められたのではないかと考えてしまいます。

 

「前」とbehindの対比だけで、歴史の話にまで展開しそうですが、いずれにしても、言葉というのは、少なくとも、発想の違いを超えて、文化の違いを明確に示すことが、よく分かると思います。

言葉の面白話その1 言葉は繰り返すその1

歴史は繰り返すといいますが、言葉も基本的に繰り返しが見られます。今回は、偶然同じ言葉が繰り返される例を挙げてみましょう。

次の言葉は何と読めるでしょうか?

シカイシカイシカイ

一番普通なのは、「歯科医師会司会」ですね。

ちょっとひやっとするのは「死か石かい?—死海!」。

死海に浸かっていると塩分が多いので、身に危険が及ぶ。そんなことを想像しますね。

このシカイの連鎖で長いものを考えました。

次のものが読めますか?

シカイシカイシカイシカイシカイシカイシカイいのがないよ

シカイがなんと7つ連続します。

これは、鹿石(しかいし)介志(かいし)という人がいて、この人が友達にアルバイトを探してほしいと頼んでいた。友達はやっといい仕事を見つけて、彼に電話した。

鹿石介志かい?歯科医師会司会しかいいのがないよ」と。

大阪弁だと、チャウチャウという犬について、2人の会話が不思議なことになります。

あれチャウチャウチャウチャウチャウチャウチャウチャウチャウチャウンチャウ

チャウが11個現れる(最後に「ン」が入る個所があるが・・・)けど。どこまでが最初の人の言葉で、どこからが2番目の人の言葉か、わかるかな?

A: あれ、チャウチャウちゃう?

(=あれはチャウチャウと違いますか?)

B: チャウチャウ?ちゃうちゃう!チャウチャウちゃうんちゃう?

(=チャウチャウだって?違う違う!チャウチャウと違うのではないかな?)

言葉って面白いですね。

前置詞周期表

英語前置詞普及会(会長石井隆之)は、前置詞の教育・研究を推進しつつ、前置詞の面白さや奥深さを発信するNPOです。この英語前置詞普及会(前置詞哲学&グッズ開発委員会)が編み出した発想のうちの1つに「前置詞周期表」というのがあります。他にも、具体的なものとして、前置詞トランプ・前置詞将棋・前置詞かるた・前置詞川柳・百前一首(百の前置詞句を歌に詠んだもの)・前置詞手帳・前置詞ノート・前置詞4コマ漫画(前置詞を教えるための4コマ漫画)、哲学的な発想として、前置詞道・前置詞五行説などを構築中です。それはともかく、今回は、前置詞周期表(英語名はThe Periodic Table of the Prepositions)を紹介します。

 

「元素に周期表があるように、前置詞にもこの発想が適用できないか?」と考えたのがきっかけで、前置詞周期表ができました。というのは、前置詞は英語(だけでなく全言語)の元素ならぬ言素だからです。なぜ、前置詞が全言語にとっても重要であるのかは、別の機会に書きます。

 

前置詞周期表(The Periodic Table of the Prepositions)

I族 II族 III族 IV族 V族 VI族 VII族 VIII族 IX族
of off
at on in by with from for to into
before onto within until through since during toward after
about around across along near beside beneath behind beyond
under below without between among besides against above over
原始 接触 内外 時点 共有 起点 賛否 接近 分離

 

 

  1. 前置詞番号(prepositional number)1番がofで、38番がover。ofは前置詞の王様(全前置詞の代表格で使用頻度も最も高い)なので、前置詞番号1番であるのは納得できる。overが最後なのは、overは「終わり」を意味する副詞があるから。→The storm will soon be over.(嵐はすぐにやむだろう)
  2. 縦に9つの「族」(family)があり、同じ族に属する4つ、または、5つ(I族およびIX族の場合)には、共通のコンセプトがある。I族は始め、IX族は終わりを暗示する。以下、やや詳し目に解説する。[以下の(  )内は族の番号、番号の直後は共通コンセプト]

(I)原始⇒はじめを暗示する前置詞:ofは前置詞番号1番で「原始」atは0次元(=点)を表し、beforeは「…の前」を表し、ともに「始め」の概念と関わっている。宇宙の原初は混沌としたaboutな状態である。最後に、物事は下位から上位へ発展するので、underは始めの状態を暗示する。

(II)接触⇒onとontoは、それぞれ接触の状態と接触の動作を表す。

aroundには、a story built around a new plot(新しい筋を元にし

て作られた話)のようにbased onの意味を持つ。below(下に)はon

(上に)に意味的に対応するのでonの仲間。

(III)内外⇒inとwithinは「内」を表す代表格で、across(超えて)は外へ出るイメージ、withoutは既に外に出ているイメージがある。

(IV)時点⇒byとuntilは、それぞれ時点を表す表現を伴う。alongには米口語で「時間的に近づいて」の意味があり、along about midnightやalong toward midnightと言えば「真夜中頃」の意味となる。between A and BのAとBに時点を入れれば、「A時からB時まで」という時間を表す。例えば、I will be here between 10 and 12.で「10時から12時までここにいます」の意味となる。

(V)共有⇒withがまさに共有を意味する中心的前置詞で、throughは共有のための手段、nearはもう少しで共有すること、amongは既に共有した結果を暗示する。「もう少し」を意味するnearの用法は、She is near tears.(彼女は今にも泣きそうだった)やThe house is near completion.(家はほとんど完成だ)に見られる。

(VI)起点⇒fromが起点を表す代表的前置詞で、sinceは完了形とともに用いる起点の前置詞。besideはby side(脇にいる)から発展した前置詞で、これから何かが始まるという暗示があり、besidesは、この前置詞から発達した前置詞。

(VII)賛否⇒forは「賛成」を表すのに対し、againstは「反対」を表す。例えば、I am all for her proposal.は「私は全く彼女の提案に賛成だ」を意味する。duringはdure(続く)の現在分詞が前置詞化したもので、「続けること」は賛同を暗示する。beneathには「人にふさわしくない、品位に関わる」の意味があり、賛同しないことを暗示する。例えば、Such conduct is beneath you.は「そのような行為はあなたの恥だ」を意味する。

(VIII)接近⇒toとtowardは接近を表す代表格で、toは到達も暗示する。behindは「背後に」という意味があり、何かが迫っているニュアンスも持つ。aboveは何かに接近して、それを通り超えたイメージを持つ。例えばHis behavior is above praise.で「彼の振る舞いは褒めきれないほど立派だ」の意味になる。

(IX)分離⇒offは当然ながら分離を表す代表的前置詞。intoは結果を表し、これまでプロセスとの分離を暗示し、afterは始めのころの状態との分離を暗示し、beyondは時間・空間・限界からの分離を暗示する。overは分離させたものに覆いかぶさる(そしてすべてを終わらせる)イメージを持つ。

  1. 横に5つの「周期」(period)があり、それぞれの周期に特徴があり、しかも、意味が左から右へ展開・発展している。第1周期では、実際に歴史的にofからoffが分化した。第2周期は基本10前置詞のうちofを除いたものが集合している。at(O次元)→on(1次元・2次元)→in(2次元・3次元)と次元的発展があり、from(起点)→for(目標)→to(接近)→into(結果)と、物体の移動や物事の論理的展開の順序になっている。第3周期は主に時間的展開を示す前置詞群であるのに対し、第5周期は主に空間的展開を示す前置詞群である。第4周期は、最初の4前置詞がaで始まり、後の4前置詞がbで始まる。そして真中はほぼアルファベットの真ん中のnで始まる前置詞である。
  2. ofとoffについて:対照的な意味関係があるので、I族とIX族にそれぞれ配置される。下記8の(a)参照。
  3. 第2周期と第3周期の前置詞の組み合わせに関係性がある。用法の違いに注意すべき前置詞群である。特に、inとwithin、byとuntil、fromとsince、forとduring、toとtowardの違いに注意すべきである。
  4. I族とIX族の間、II族とVIII族の間、III族とVII族の間、IV族とVI族の間に関連性がある。I族のbeforeとunderに対し、IX族のafterとoverがそれぞれ対応する。II族のコンセプト「接触」とVIII族のコンセプト「接近」は「接」という共通項がある。III族のコンセプトとVII族のコンセプトは、それぞれ「内外」と「賛否」で、対照的な漢字を組み合わせている点で共通している。IV族とVI族のコンセプトは「点」が共通項である。
  5. 同じ周期で隣同士に関連性があるものが存在する点にも注意。第1周期のofとoff、第2周期のat, on, in、第4周期のaboutとaround、第5周期のunderとbelow、betweenとamong、aboveとoverなど。
  6. 前置詞は36個が重要であるが、この周期表では、offとontoが加わって38個となっている。offとontoの存在意義を示しておく。

(a)    offは14-5世紀にofから分化し、17世紀以降現在の形になった。現在ではofが「離れていないこと」(=所属・部分)を主に担当するのに対し、offは「離れていること」(=分離・離脱)を表す。

(b)    ontoはonで曖昧になる状況を解決する。例えば、He jumped on the stage.は「ステージに跳び上がった」と「ステージでジャンプした」の2つに曖昧であるが、He jumped onto the stage.は前者の意味だけを表し、曖昧性が消える。

英語の品詞を曼荼羅化する

今日は、英語の基本に立ち返り、英語の品詞曼荼羅を紹介しましょう。

英語の品詞曼荼羅

by Takayuki Ishii

助動詞 名詞 代名詞
  動詞 前置詞 形容詞
接続詞 副詞 冠詞

 

  1. 前置詞が曼荼羅の中心である。いわば、英語9品詞を統一する英語界の大日如来。なぜなら、前置詞は、4大品詞(内容語を生み出す品詞:名詞、形容詞、副詞、動詞)と全て関わるからである(例→interest in… / afraid of… / away from… / concentrate on…など)。だから、この4品詞は前置詞に接している。
  2. この4大品詞に関連する重要品詞が、曼荼羅上で右回りに置かれている。例えば、名詞の右に代名詞(=名詞の代わりをする品詞)、形容詞の下に冠詞(=形容詞的な役割を持つ[←名詞の前に付くから]機能語)、副詞の左に接続詞(=文を接続することは意味的・構造的に副詞的)、動詞の上に助動詞(=動詞を助ける品詞)がある。
  3. 内容語になる4品詞が十字に、機能語になる4品詞が4隅に配置されている。
  4. 内容語は、前置詞を挟んで、名詞と副詞が縦に、動詞と形容詞が横に配置されている。これは、名詞と副詞は直接関係がなく、また、動詞と形容詞も直接関係がないことを図で示している。しかし同時に、前置詞にこの2者を関係づける能力があることも示している(例→out in the garden [副詞+前置詞+名詞句] / sure of succeeding… [形容詞+前置詞+動詞句])。
  5. 右上の代名詞と左下の接続詞を除いて、冠詞から左回りに進むと、文における品詞の出現順になっている(冠詞⇒形容詞⇒名詞⇒助動詞⇒動詞⇒副詞:例→An intelligent person can learn quickly)。
  6. 副詞と接続詞の関係性について:①I want to learn English, so I will go to the U.S. to study it.[=②Because I want to learn English, I will go to the U.S. to study it.]において、①の場合は、I want to learn Englishがsoで代表されてI will以下の文を意味的に修飾していると言え、②の場合は、Because I want to learn Englishが、まさに、構造的に副詞節として、I will以下の文を修飾している。さらに、副詞に接続の機能がある接続副詞というものがある。①と②の場合は、thereforeを用いて表すことができる(→I want to learn English; therefore, I will go to the U.S. to study it.)。
  7. 品詞として独立していながら、品詞曼荼羅に入っていない品詞が1つある。それは、間投詞(interjection)である。間投詞は、感情のまま発するOhやOuchなど、さらには、擬声語・擬態語など、音や雰囲気をそのまま感覚で表現する語も含め、およそ、かなり原始的な言葉なので、曼荼羅には入らない。文の要素(=文に不可欠なもの)でもなく、修飾関係も持たない独立した言葉なので、互いに関連することを特徴とする品詞にはなじまない。

 

助動詞 名詞 代名詞
動詞 前置詞 形容詞
接続詞 副詞 冠詞

(1)   □の枠で囲んだ品詞(助動詞・動詞・接続詞)は「心」と関連が深い品詞

助動詞はwould you…?で依頼、Shall I…?で提案を表せるので、心と関係が深いし、また、動詞をそのまま発すると命令になる(→Leave me alone; Beat it.)ので、心と関係が深い、さらに、接続詞は、順接・逆接の意味を表すので、心の持ち方・考え方(論理思考)と関連が深い。

(2)   イタリックで示した品詞(代名詞・形容詞・冠詞)は名詞を修飾する品詞

代名詞は、人称代名詞の場合、所有格が名詞を修飾する(→my book; your mother…)し、指示代名詞と同じ形の指示形容詞はもちろん名詞を修飾する(→this pen; that man…)。

(3)   赤字で示した品詞(名詞・助動詞・動詞)は修飾の機能を持たない品詞

(4)   青字で示した品詞(形容詞・冠詞・副詞)は修飾の機能を持つ品詞

以上のように、特徴的な位置に、関連する品詞がまとまっている。

語彙力を伸ばす秘訣その2 「アウトプット」

今回は、語彙力を伸ばす秘訣その2です。<「英会話」は「映会話」(頭に情景を映し出して会話すること)>と私は考えています。また、<「英作文」は「栄借文」(借りた表現で文を繁栄させること)>と私は感じています。そして、<「語彙力」は「後威力」(後で威力を発揮すること)>と私は悟っています。それでは、私が以前に書いた簡単な語彙力を伸ばす秘訣をご紹介します。

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■アウトプットを増やすことが語彙力UPに役立つ

 英語学者や英語教育家は、口をそろえて、語彙力を増強させるには、「読むこと」(Reading)が肝心、即ち、インプットを増やすことを強調する人が多いですね。勿論、それも大変重要ですが、もっと基本に立ち戻り、「あれは英語でなんと言うのかな?」という疑問を持つことが、語彙力増強、更には、「英語開眼」(英悟!)に我々を導いてくれるでしょう。

私は、学生時代、ある英語サークルで、「不況を乗り切る方法」などのテーマで、ディスカッションしていたころに、「将来家族を路頭に迷わせたくない」という内容のことを英語で言おうとして、とっさに英語が出てこなかったことを思い出します。

ところが、実は、英語という言語は、非常に表現力が豊かな言語です。「路頭に迷う」だけでも、次のようにたくさんの表現があります。

become homeless

be turned adrift

be truned in the streets

be thrown on the streets

be reduced to beggary

be exposed to pauperism

be out in the cold

be cast away in the world

  「彼は酒のために妻子を路頭に迷わせた」という英語に、次のようなユニークなdrinkの用法も存在します。

He drank his family out of house and home.

  一方、英作文においては、日本語にとらわれず、意味から訳すという方法もあります。例えば、「彼が死んだら、家族は路頭に迷うだろう」という表現は、難しく考えず、次のような英文にしても、充分通じます。

If he dies, his family will not be able to support themselves.

とにかく、積極的にアウトプットしようとする日頃の努力により、語彙力が増えます。語彙力増強のための7か条を示しておきましょう。

 

語彙力増強のための7か条

その1 1つの意味だけで満足するな。

[英単語は複数の意味があることが多い]

その2 基本動詞は例文と共に覚えよ。

[動詞は意味だけを覚えても意味がない]

その3 頭と口と目と手をうまく使え。

[いろいろな五感を用いて語感を養おう]

その4 辞書に頼らず辞書に頼る精神。

[頼る時には頼りつつ英文は自力で読む]

その5 生活即単語の発想を実践せよ。

[常に単語を調べる習慣を身につけよう]

その6 集中力と継続力と自信が肝心。

[自信を持って毎日こつこつ集中しよう]*

その7 まず覚えるべき単語を覚えよ。

[基本英語力に不可欠の108単語の征服]

*「英語学習の3C」=Concentration, Continuation, Confidence)

注:覚えるべき単語108は、次のブログ記事で紹介します!

語彙力を伸ばす秘訣その1 「まとめること」

皆さん、お待たせしました。やはり、普段から、「花より団子」ならぬ「花より単語」、「論より証拠」ならぬ「論より熟語」、「棚から牡丹餅」ならぬ「棚からボキャブラリー」などと標榜し、語彙の重要性を強調している私なので、ブログ再開は、やはり語彙力増強法からにしましょう。今日のテーマは「まとめること」が語彙力を伸ばすということ!

 

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 英語学習を進めていると、いろいろなことを発見するものです。私も以前、単語を勉強しているうちに、短い綴りの単語について、「Lを含む単語はゆったりとした動き、Rを含む単語はすばやい動きのイメージを持っている」ということを発見したものです。

例えば、ゆったりとした「湖」は、lakeでLを含み、流れる「川」はriverでRを含みますね。「歩く」がwalkでLを含むのに対し、速い動きの「走る」はrunでRを含んでいます。ゆったりと動く「雲」はcloud、激しい動きを暗示する「雨」はrainですね。

動かないようにすることであるlock(錠をかける)に対し、LをRに変えたrockは「揺れ動かす」「揺れ動く」等の意味がある。同じ単語を用いたrock music(ロック音楽)は激しい動きを感じるし、一方、classical music(クラシック音楽)は、普通、ゆったりとした音楽ですね。

Rを含むtreeは成長するので動きを暗示しますが、それを切り倒したlog(=丸太:Lを含む)はやはり動きません。「速い」という単語そのものであるrapidがRを含み、「遅い」を意味する単語は、slowで、やはりLを含みます。遅いイメージは、「頭が鈍い」に通じ英語ではslow-witted、「頭が早く回転する」の意味はsharp-wittedです。勿論foolishとsmartの対比もありますね。だらだらしているイメージの単語の代表格はlazyでLが入り、まじめなほうはearnestで、しっかりRが入っています。

Lを含む語をL語、Rを含む語をR語として、まとめてみると…。

 

L語: lake; walk; cloud; lock; classical music; log; slow; slow-   witted; foolish; lazy
R語: river; run; rain;  rock; rock music;  tree; rapid; sharp-witted; smart; earnest

 

 上に見たグループ分けは、少し特別ですが、「単語をグループ分けする」という作業自体は、単語学習に効率的な効果をもたらします。

 グループ分けのヒントを7つ示しますので、これらの発想で、TOEIC学習の合間に、ゆったりとした気分(L的な気分)で、同時に、きびきびと手際よい方法(R的な方法)で、単語力を増強してください。

 

私が薦める単語のグループ分け学習法:7つに視点

その1 同義語でまとめる [Thesaurus(同義語辞典)を利用する]

その2 同類語でまとめる [同じ種類に属するものの英語を調べる]

その3 連想法でまとめる [連想した日本語を和英辞典で調べる]

その4 派生語でまとめる [基本単語の派生語を英和辞典で調べる]

その5 接頭辞でまとめる [同じ接頭辞(pro, con等)の単語を集める]

その6 接尾辞でまとめる [同じ接尾辞(less, ity等)の単語を集める]

その7 周辺語発想で学ぶ [辞書の同じページに載っている重要語

を調べる]*

*「周辺語発想」というのは、ある単語を調べるときに、引いた辞書のページを閉じるのがもったいないという発想から、そのページに載っている重要語(印のついた単語など)と例文を書き写すという時間節約型単語勉強法である。